食パンを使ってみよう

「離乳食」というと「米粥」が主食になることが多いですが、米粥は作るのが意外と大変。 私の経験では米粥を米から作ろうとすると最低でも60分、既に炊き上がっているご飯から作る場合でも20~30分かかります。

米粥を作るためにはこれだけの時間がかかるため、「アッ!もう離乳食の時間なのにお粥のストックがない!」なんてことになると悲劇。 お腹が空いてグズる赤ちゃんをあやしながらキッチンで鍋を見るなんて容易ではありません。 1度お粥のストックを忘れただけなのに、何ともトホホな展開になることさえあります。

そんな時に便利なのが「パン粥」。自宅に食パンさえあればパパっと作ることができるので、ママも赤ちゃんもハッピー。 ただ、「ウチは食パンを常備していないから無理!」というご家庭もあることでしょう。

実は我が家も食パンは常備していませんでした。 パンは大好きなのですが、「パンと言えば菓子パン」だったので、食パンのような甘くないパンは滅多に買いませんでした。

では、食パンを常備していない家庭では離乳食としてパン粥を作ることはできないのでしょうか? そんなことはありません。パン粥は冷凍保存しておいた食パンを使って作ることもできるので、食パンを常備しておく必要はありません。しかも、冷凍した食パンを使う時、解凍する手間も入りません。

通常、パン粥で使う食パンは細かくちぎって使うのが基本なのですが、冷凍した食パンはちぎらずにおろし金ですり下ろせばOK。実は、すり下ろした食パンを使うと、素早くトロミが付き、短時間でパン粥を作ることができます。

尚、食パンを冷凍するときは乾燥やニオイ移りを防ぐために1枚ずつ空気が入らないようにラップに包んでから、フリーザーバッグのようなしっかりと封のできる保存袋に入れてから冷凍庫で保存してください。

それではパン粥の具体的な進め方をお伝えしていきます。

目次

始めるタイミング

パン粥は離乳食初期(5~6ヵ月頃)から始めることができますが、まだまだ消化器官が未熟な時期であるためいきなりパンを与えてしまうとアレルギー反応を起こす可能性もあります。 慌てずに、離乳食開始から1ヵ月程度経過した6~7ヶ月頃を目安に始めると良いでしょう。

我が家には子供が2人いますが、2人ともパン粥デビューは離乳食中期でした。 長男は米粥が比較的順調に進み、生後7ヶ月を過ぎた頃にパン粥にトライ。すでにうどんやそうめんなどで小麦粉のアレルギーがないことは確認済みだったので、食パンを熱湯でふやかしてドロドロにしたものからスタートしました。

その後、このパン粥を1週間程度続けて、パン粥に慣れたところで一歩進んだ粉ミルク入りパン粥を与えることにしました。 ただ、今まで完母で育てていたので、粉ミルクに対してアレルギーがあるかどうかは不明。 そこで、万が一に備えて小児科の開いている時間帯に粉ミルク入りパン粥を作り、少量を長男に食べさせました。

ミルクの味が気になるのか米粥ほど食い付きは良くありませんでしたが、アレルギー症状なども出ることなく食べることができてひと安心。 ただ、長男は粉ミルク入りパン粥をさほど好まなかったこともあり、長男の離乳食の定番メニューとはなりませんでした。

一方、次男は離乳食が全く進まず、米粥すらダメ。どうやらドロドロした食べ物を受け付けないようで、味付けを変えたり食材を足したりと工夫をしても全く食べず。 離乳食開始から数か月間はほぼ母乳のみでの栄養摂取となっていました。

ただ、このまま母乳がメインだと「栄養が足りなくなってしまうのではないか?」と悩む日々が続きました。 あれこれ考えた末、生後9ヶ月を過ぎた頃、試しに柔らかいタイプの食パンをちぎってそのまま与えてみました。

「ちゃんと飲むこめるかな?」「ノドに詰まらないかな?」とドキドキしながら見守っていたところ、「これまでの離乳食は何だったの?」と思うくらい食い付きが良く、しっかりと飲み込むことができていました。 それ以降、次男の朝食はパン粥になりました。

食パンの選び方

パン粥に使うのは一般的には食パンです。 食パンの基本的な材料は小麦粉、砂糖、塩、そしてイースト菌や天然酵母。これらを混ぜて型に入れ、しっかりと発酵させた後にオーブンで焼けば出来上がり。 さらに、ふわふわした食感、コクや風味が出すために卵や牛乳、生クリームやバターを入れます。

食パンにはこれだけの食材が使われているので、まずはこれらの食材に対してアレルギーがないかを確認することから始めます。 具体的には、小麦粉、卵、牛乳アレルギーがないかどうかを確認しましょう。 小麦粉はうどんやそうめん、卵は卵焼き、牛乳はそのまま牛乳を与えて確認するといいです。 それでアレルギーがないことがわかったらパン粥を始めます。

アレルギー以外にも気を付けたいのが食品添加物。市販の食パンの多くには品質保持のために乳化剤、イーストフード等の食品添加物が入っています。 これらの食品添加物は安全性が認められていますが、できれば避けたい。 最近は「イーストフード・乳化剤は使っていません」とパッケージに記載されている食パンも見かけますので、もしそのような食パンを見つけたらパン粥に使ってみましょう。

さらに1歳未満の赤ちゃんはハチミツにも注意が必要。ハチミツに含まれるボツリヌス菌によって「乳児ボツリヌス症」という病気を引き起こすリスクがあるので、ハチミツが入っている食パンは絶対に避けましょう。

スポンサード リンク

最初に与える量

離乳食で新しい食材にトライする時は「小さじ1杯(約5g)」からスタートするのが目安になりますが、卵などアレルギー反応が出やすい食材の場合は「耳かき1杯」くらいからスタートするのがいいです。 特に、卵が含まれている食パンを使用する時は普段以上に赤ちゃんの様子に注意しましょう。

ちなみに、長男に初めて与えた日は小さじの半分以下しか食べることができませんでした。 小さじ1を食べ切るのにも3日も要しました。 「小さじ1」なんて「ほんのちょっと」というイメージですが、離乳食における「小さじ1」はかなりハードルが高いということがわかりました。

ところで、同じ「小さじ1」でも加える水の量によって濃度が変わってきます。 ちなみに、米粥は「米1に対し水10の割合で炊いたのが10倍粥」「米1に対して水7の割合だと7倍粥」のように加える水分量が分かりやすいです。

一方、パン粥には「10倍パン粥」などというものはありませんので「どれだけ水を加えたら良いのかしら?」と不安に思ってしまうこともあるでしょう。 基本は「食パン15gに対して水(または調乳済みのミルク)80cc」という割合で、パンがトロトロになるまで鍋で煮ます。 そして、これが最初に与える量となる「小さじ1杯」となります。

尚、最初は小さじ1杯の食パンしか使わないので、大半が残りますが、残った分は冷凍保存しておけば、次回使うことができます。

パン粥の冷凍・解凍方法

パン粥は米粥と同じように冷凍することができます。 出来上がったパン粥は粗熱を取ってから製氷皿などに入れて冷凍するだけ。 こうしておけば必要な時に解凍するだけなので、毎回少量ずつ作る手間がなくなります。

ただ、粉ミルクで作ったパン粥の場合は注意が必要。 実は粉ミルクを使った離乳食の冷凍保存は推奨されていないのです。 というわけで、粉ミルク入りのパン粥を作るときは、まず水で作ったパン粥を冷凍し、それを解凍して食べさせる直前に粉ミルクを混ぜ合わせましょう。

また、冷凍保存において重要なのは消費期限。 「冷凍庫に入っているから何ヵ月も安心」と思ってしまうところですが、冷凍状態でも徐々に傷んでいきます。 消化器官の未熟な赤ちゃんに与えるものなので、新鮮なうちに使うのが理想。冷凍したパン粥だけでなくパン粥用の食パンも、1週間を目安に使い切りましょう。

解凍は電子レンジか小鍋を使います。 レンジの場合はまず10秒温めて、確認します。 そして、ちょうどよい具合になるまで、これを繰り返して解凍します。 小鍋の場合は少量の水を鍋に入れて沸騰させた後に冷凍パン粥を入れて煮立たせます。

パン粥を嫌がるときの対応

初めてのパン粥は「食パン+水(またはミルク)」のみで作ります。 ただ、このパン粥は、大人が食べてもあまりおいしいものではありません。 というわけで、赤ちゃんもパン粥を嫌がるかもしれません。

もしパン粥を嫌がるなら止めるのも1つの手です。 パンからは主に炭水化物を摂ることができますが、炭水化物ならパン以外(米やうどんなど)から摂ることもできます。 パン粥にこだわる必要はありません。

ただ、先々を考えると「パン」は食べてもらいたい食材の1つ。なぜなら、パンさえ食べてくれるなら離乳食を卒業した後のお昼ごはんが随分ラクになるからです。 パンならサンドイッチやフレンチトーストなど手軽に作れるメニューが豊富です

もし、パン粥を嫌がるなら以下のトマトとチーズの入ったパン粥を作ってあげてください。 このトマトとチーズの入ったパン粥は大人が食べてもおいしいです。

↓↓↓↓↓

材料
8枚切り食パン1枚、キャベツ、人参、玉ねぎ、トマト、ツナ缶(ノンオイルの水煮)、粉チーズ

作り方
1. まずパン粥を作ります。 鍋に100cc程度の水を入れて沸騰させてから、食パンの耳以外の食パンをちぎりながら入れます。その後、スプーン1分程度かき混ぜたら完成。

2. 次はトマト野菜スープを作ります。鍋に150cc程度の水、細かく刻んだ「キャベツ、人参、玉ねぎ」を入れて5分程度じっくりコトコト煮ます。その後、湯むきして角切りにしたトマトを入れ、1分程度煮ます。

3. ツナ缶を茶こしに入れ、熱湯をかけます。

4. 1と2と3を混ぜて、最後に小さじ1の粉チーズをふりかけたら出来上がり。

スポンサード リンク

このページの先頭へ