抗生物質は苦い

病気のつらさの方がマシ?

私は粉薬が苦手。のどに張り付く感じや舌に残る感じがとても嫌なのです。 ただ、病気を治すためならば躊躇せず飲みますが、子供の場合はそう簡単にはいかないのです。

我が家の長男は、幼稚園に入園する前までは薬を飲むほど体調を崩したことがなかったのですが、年少の前半は頻繁に風邪を引き、2週間に1度小児科に通うほどでした。 しかも、長男が幼稚園で風邪をもらい、それが次男にうつるという悪循環。

きっと小児科の先生も調剤薬局の薬剤師さんも、「あ、あの親子また来た!」と思っていたことでしょう。 お陰であっという間にお薬手帳がいっぱいになってしまいました。

体の小さい子供の場合、薬は錠剤ではなく粉。風邪でも程度が軽ければ、もらった粉薬をジュースに溶かすことで飲むことができましたが、問題は症状が重い時。 かかりつけの小児科医には、「まず粉薬を飲み、それで改善しないようならば抗生物質を飲むように」と言われます。

例えば、咳がひどい風邪の場合は、まず咳を鎮め痰を出しやすくなる薬を2日程度飲ませ、症状が治まらないようなら併せて抗生物質を飲ませるということなのですが、抗生物質は粉薬と比べると苦みのあるものが多く、飲ませるのがとっても大変なのです。

夏休み直前、またまた風邪を引いてしまい、ひどい咳と熱でぐったりしていた長男。小児科を受診し、咳の薬と抗生物質を処方してもらいました。 先生の指示通りに咳の薬から始めましたが今ひとつ効果を感じられなかったため、仕方なく抗生物質を追加することにしました。

これまでも何度か抗生物質のお世話になったことがありましたが、アイスやプリンに混ぜたりして、何とか飲むとができていました。 しかし、今回の薬は強敵。咳に効く抗生物質は他のものに比べて苦いようで、ほとんど飲むことができません。

どうにか我慢してアイスと一緒に1回分飲んだとしても、その苦さを知ってしまったせいで2回目以降が飲めず、口に入れても吐き出してしまいます。ただでさえ風邪でつらいのに、薬を飲むつらさまで加わったら可哀想と思うところですが、抗生物質は飲み始めたらきちんと最後まで飲み切らなくてはならず、飲めないからといって自己判断でやめてしまう訳にはいきません。

何とか嫌がらずに飲んでもらえないかと試行錯誤する私。 チョコレートを溶かして混ぜ再度固めてみたり、水やジュースに混ぜて凍らせてみたり、食紅とゼラチンを使ってカラフルゼリーにしてみたり。あれこれ策を立てますが、そのほぼ全てで撃沈。

ゼリーに混ぜてもダメ

味を感じる前に飲み込んでしまえば良いものの、どうしても味わってしまうようで、苦みを感じた途端に吐き出してしまいます。 「ここまでしているのにどうして飲めないの?」子供に当たってしまうこともありますが、当たるなんてお門違いもイイトコロですよね。

こうなったら「悪あがきはしないで、そのまま口に入れてしまおう!」と、作戦を変更。 長男に「薬なんだから美味しくないよ。味のチェックなんかしなくていいから一気にお水で飲んじゃって」と話し、上を向かせて口の奥に投入。そして水を飲ませると…、何と飲めちゃいました! やったー!できるじゃん、「大人飲み」!よかったー!これで解決だ!

オブラートの導入

「これで一安心」と思ったのですが、ひょっとしたらこの先嫌がる時が来るかもしれませんから、次の作戦を考えておかなければなりません。 ネットであれこれ調べていると、「オブラート」が良さそうな感じです。

幼い時オブラートのお世話になった私。母に薬を包んでもらったオブラートをそのまま口に入れ水と一緒に飲み込むと、のどを通る時こそ違和感がありますが、口の中に苦みが残ることもありません。 お陰でしっかり飲むことができていました。

「そうか、長男もオブラートならもっとラクに飲めるかも?」 これで飲めたらどんな薬でもドンと来いです。早速、ドラッグストアに行ってみるとオブラートコーナーには丸形オブラート、袋状のオブラートなど数種類のものがありました。

「袋状の方が包みやすそうだなー」と見ていると、なんとイチゴ味の袋状オブラートを発見。これはきっといつか役に立つに違いないと思い、早速購入してみました。 ここで、オブラートの使い方について確認してみると、私がかつて飲んでいた方法は間違っていたようです。オブラートの正しい使い方は以下の通りです。

正しいオブラート使い方
薬をオブラートの上に乗せ、できるだけ小さく包む
水を入れたお皿を用意し、オブラートをスプーンに乗せて浸す
十分に水分を含ませてからそっとすくい上げる 口の中にそっと入れ、噛まずに飲み込む

さて使用方法の確認もバッチリ。あとは薬を飲む時を待つのみです。

それから3ヶ月後。再び風邪を引いたかと思うと、最終的に中耳炎になってしまった長男。鼻水がひどかったから小児科だけではなく耳鼻科に連れていけば良かったな。 今さら後悔しても中耳炎は治りません。耳鼻科医に指示された通り、しっかりと抗生物質を飲ませなければいけません。

ここで登場したのがオブラート。 初めてのオブラートにちょっと警戒気味の長男ですが、抗生物質を入れない状態のまま食べさせてみると「美味しい」とのこと。イチゴ味を選んで大正解でした。

早速、袋オブラートに薬を入れて閉じ、コップに入れた水にチョンチョンとつけます。そしてそのまま長男の口へそっと運び、水を飲ませると、無事にゴックン スムーズに飲んでくれました。

「もう、どんな薬でもドンと来い!オブラートって本当に素晴らしい」 ちなみに、オブラートに慣れてしまってからはイチゴ味でなくても飲めるようになりました。

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今度は次男が嫌がる

実はもっと大変だったのが次男だったのです。 次男は離乳食の時からかなり偏食で、ドロドロした食べ物を一切受け付けず、おかゆを食べるべき時期に小さく切った食パンを食べていました。

基本的には食パンとごはん、かろうじてサツマイモを食べることがあるくらいです。 味に対して敏感なのか、食べ物の中に少しでも嫌いなものが入っていると瞬時にそれに気付き、べーっと吐き出してしまいます。

実は食べられるものの種類がなかなか増えなかったこともあり、2歳まで母乳を飲んでいました。お菓子に関しても、幼児なのにグミより柿の種を選ぶ辛党な子供。そんな子供なので薬を与えるのはとにかく大変なのです。

ちなみに、長男が幼稚園で風邪をもらってくると、もれなくその風邪をもらってしまう次男。そのたびに小児科を受診するのですが、処方された薬が飲めません。だだ甘いだけの粉薬はジュースに混ぜることで何とかごまかすことができたのですが、問題はやはり抗生物質。

長男はアイスやチョコレートに混ぜることで、全量は飲めなくても少しなら飲むことができていました。しかし、次男はアイスもチョコレートも大嫌い。しかも、プリンもゼリーも食べられません。 「一体どうすれば良いんだー!」

そんなある日、中耳炎になってしまった次男。 「中耳炎=抗生物質」ということを知っている私は、診断されてから不安しかありません。しかし、飲む以外に選択肢はないのです。

耳鼻科でもらった抗生物質は、甘いシロップに抗生物質が混ぜられていました。「1日3回飲ませるように」ということだったので、自宅に帰り恐る恐る飲ませる準備をします。 コップにオレンジジュース、そして薬を投入。「どうか吐き出さないでー」と願いながらも冷静な表情を保ったまま子供に差し出しました。

すると、ゴクゴクと飲んでいるではありませんか!「えー、なんでー?」「でも良かったー」 どうやら耳鼻科で出された抗生物質は今まで飲むことができていた粉薬と同様、我慢できるタイプの味だったようです。 これからは鼻水の症状のある風邪では、小児科ではなくて耳鼻科に行こうと思った瞬間でした。

しかし、同じ抗生物質ばかり飲んでいると、菌が薬に対して耐性を持ち、効かなくなってしまうということ。もし、この「飲める抗生物質」が効かなくなってしまったら一体どうすれば良いのかと、子供が体調を崩すたびにドキドキしていました。

そして1歳半の時、今度はインフルエンザになりました。その時に出たのは「タミフル」。この時も飲めなかったらどうしようと不安でいっぱいでしたが、味が悪くなかったのか、それとも抵抗する程元気がなかったのか分かりませんが、無事に飲むことができました。

それから2ヶ月後、なんと溶連菌に感染してしまったのです。えー、よりによって溶連菌って。勘弁してください。

次男とのバトル

なぜ溶連菌だと困ってしまうのかというと、必ず抗生物質を飲まなければならないから。しかも10日~14日間、飲み続けなければいけません。 溶連菌に感染した場合、抗生物質を飲み始めてから24時間経過すると伝染の心配は無くなりますが、裏を返してみると抗生物質を飲まなければ周りに感染させてしまうということです。

また、抗生物質を飲んで感染力はなくなったとしても体内の溶連菌が全て消え去った訳ではないため、完全に退治できるまで10日~14日間は服用が必要となるのです。 万が一、自己判断でやめてしまった場合、急性腎炎やリウマチ熱という合併症を起こす可能性があるということなので、何が何でも飲ませなければなりません。

薬局で受け取る際に、「この薬は苦いですか?」と薬剤師さんに聞いたところ、「甘いイチゴ味です」とのこと。イチゴが大好きなので、これなら飲めそうです。 自宅に戻り、まず私が味見をしてみると、お菓子のイチゴ風味。「よかったねー、美味しいよ」と声を掛けつつジュースに混ぜて飲ませると、なんとゴクゴク飲んでいます。

「良かったー」と思ったのも束の間、飲み終わった後に険しい顔。どうやら舌に残ったザラザラ感がダメなようで、一生懸命に洋服で舌を拭いています。それでも飲めたことには変わりがないので、「よく飲めたねー!えらい!」と褒めちぎりました。この調子で1日3回14日間飲んでね。

そしてその晩、2回目の抗生物質の時間ですが、やはり飲むのを嫌がります。どうやら口の中に残るザラザラ感を警戒しているようです。もしも飲むことができなかったとしたら子供の体が危ないだけでなく、家族にもうつしてしまうしまうことになりますから、何とかして飲ませなければなりません。

まず野菜ジュースに混ぜてみますが、コップに口を付けようともしません。「じゃあストローで飲みな」と言って、飲ませようとしましたが、ストローをくわえもせず逃げ回ります。「飲ませなければ」と必死に追いかける私は相当怖い顔をしていたと思います。これじゃ飲む気も失せてしまいますよね。

結局30分間戦った結果、「おれんじじゅーす(に混ぜて)!」という子供の要望を受けて薬を作り直し、どうにか飲ませることができました。ただ、飲んだ後に残る舌のザラザラはかなり気になっているようでした。

まだ子供との格闘は続きます。 翌朝、さらに嫌がる次男。今回さえ飲めば投薬開始から24時間経過するため感染の心配が無くなります。何が何でも飲ませなければ。

ここで、もしものためにと買い置きしていたゼリー状のオブラートを使ってみますが、口を開こうともしません。それならと、おやつの時間に食べ慣れているゼリーを潰して使ってみますが、これもダメ。さらに、オレンジジュースに混ぜストローで飲むように促しますが見向きもしません。

どんな手段を使ってもとにかく飲まないので、私もだんだんイライラが募ってきます。30分間の戦いの中で何度も大きな声を出し、何度も泣かせ、「飲まないなら知らない」と何度も突き放しました。 それでも飲むしか道は無いのです。

最終的には「飲めない子供は一人でお留守番だよ」と精神的に追い詰め、ようやく飲むことができました。 「どうしてこんなにも辛い思いをさせないといけないの?」と悲しくなりましたが、溶連菌を退治するまでの辛抱です。

溶連菌の治療は続く

あと12日間もこんな戦いをしていたら、私も子供も、心と体がボロボロになってしまいます。 何とかならないものかと、子供のお昼寝中に溶連菌や抗生物質についてインターネットで調べると、溶連菌に効果のある抗生物質の種類が書いてありました。

よく見てみると、今回処方された薬の他に、なんと、いつも耳鼻科でもらう抗生物質の名前が書いてあるではありませんか。ひょっとして、替えてもらえるかも? しかし、この日は前回かかった小児科の休診日のため、受診できるのは明日以降。残念ですが、それまでは戦うしかありません。

4回目の服用になってくると嫌々ながらも飲むコツが分かってきたようです。オレンジジュースに混ぜ、ストローを深めに口に入れることでどうにか飲めるようになりましたが、かなり我慢している様子が見て取れます。

しかし、5回目の服用で全く飲めなくなってしまいました。 飲めなくなってしまった原因は眠気。眠さの余り、薬どころではなくなってしまったようです。 ここで子供に泣きながら拒否されたことで私の心が限界に到達。このまま車に乗り込み、小児科に向かいました。

実は前日から長男が「少しだけノドが痛い気がする」と言っており、私もなんとなくノドに違和感を感じていたので、溶連菌の検査をしてもらいたいと思っていたのです。 小児科での検査の結果、長男・私ともに陰性。「良かったー」とホッとしたところで次男の薬の相談です。

オレンジ味の抗生物質

「処方していただいた薬が飲めなくなったこと」を伝えると先生は快く新しいオレンジ味の抗生物質を処方して下さいました。 ただ、オレンジ味とはいえ苦手な抗生物質。飲めなかったらどうしようと不安を抱きつつ、自宅に帰ってすぐに味見をしてみると、美味しいじゃん。ザラザラ感もなく、しっかりとオレンジ味。これなら絶対に飲めます。

「美味しいよ、良かったねー」と言いながらコップを渡すと、恐る恐る口に運びます。そして、一口飲んで「おいしー」とニッコリ。すぐに飲み干すと、親子で「おいしいー、おいしー」とピョンピョン跳ねながら喜び合いました。

そういえばこの数日間、笑っていなかったかもしれません。1日3回やってくる薬の時間が憂鬱で、笑う余裕がありませんでした。 オレンジ味の抗生物質があって、本当に良かった。

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